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「樋口愛個展 "like a Baby!"」紹介文2014年

テキスト:太原有紀子(翻訳家)

 

 

  副題の「like a Baby!」について 樋口愛さんのコメントです。

「 失敗を恐れず、 他人の目や世間の価値観も気にすることなく自分の興味の赴くままに無心になってつき進む赤ちゃんのように、 そんな心を大切にして絵を描き続けたい。 大人になると 自分で自分を苦しくしているようなところがあるから、赤ちゃんを見習って心を解放していきたい。」


 幼い頃見た風景を大人になってから見たときにまるで別の風景のように思えるということはあると思います。それは成長の証にちがいないのですが時にはその成長のせいで本来の輝きが見えなくなっていたり面白いと気づく前に通り過ぎてしまったりします。価値観や固定観念のフィルターをかけずに 物を見るというのは意外と難しいことのようです。

 先入観を捨ててみると何かいいことありますか・・・?
 何の役に立つのかなんてあまり考えずに何かに夢中になれる感覚を取り戻せば責任やらプレッシャーやらで思いのままには動けなくなってしまった大人の心が再び自由に動き出せるような気がします。そんなとき樋口さんの作品は心のフィルターを取り除くために目から飲む「薬」になります。赤ちゃんの目と大人の心で感じるままに写し取った世界をじっと見ていると暗号を解読してみたくなったり空飛ぶ謎の人物?につられて空を飛びたくなったり「こっちの世界へおいでよぉー」なんていう声が聞こえてきたりします。「がんばってる感」のない脱力系浮遊感が漂う世界を目から飲んでみるだけで心の凝りがほぐれていきます。近頃、心が凝っちゃって・・・というすべての大人にお勧めしたいところですが薬には副作用がつきもので効き過ぎて戻れなくなっても責任は負えません。あしからず。

 

 

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