「樋口愛 絵画展 Mongrel Viewing」紹介文2021年
テキスト:株式会社 織絵
オリエ アート・ギャラリーでは、樋口愛の絵画展「Mongrel Viewing」を開催します。
重力から放たれたように軽やかな背景にシンプルな線で描かれた子供や犬、猫。顔の表現が点や丸であるにもかかわらず、愛らしい表情や強い意志が感じられるそれらのキャラクターは、しっかりとその場で此処か何処かを見つめています。その可愛さの中にある強さをひもとく鍵は、樋口愛の言葉の中にあります。いのちの物語を根底のテーマとしている作家は、生命循環の現場である土壌に魅了され、そこから生まれる濃密な「いのち」に「つちたま」という名前をつけました。「自然界」と「人の感情」そのいずれも数多の生死を超え、どうにか折り合いをつけて分解された芳醇な土壌をもっています。子供や身近な動物の姿をした愛すべきキャラクターも、豊かな土壌からあらわれ、「つちたま」として何かを伝えたがっているようです。
本展では東京での初個展となり、0〜100号までの新作絵画を発表します。ようやく始動できそうな2021年春、ぜひ会場でご高覧ください。